GREETING
「代表挨拶 」
20年ぶりに「君に読む物語(原題:The Notebook)」のリバイバル上映があり、当時の朧気な記憶とともに新たな気持ちで鑑賞しました。当時は主人公の喜怒哀楽に共感したものですが、再鑑賞時は主人公を取り巻く周囲の登場人物に感情移入し、同じ物語でも鑑賞時の年齢や自身の環境によって、大きく目線が変わるものだと新たな発見がありました。弊社がお客様をご支援する上でのスローガンとして「人それぞれに物語があるように、会社にも様々な物語がある」と掲げていますのも、“日々、様々な出来事に翻弄されながらも歩み続ける経営者に対して、弊社はいかなる視点で寄り添えるか”を表現したものであり、単なる会計・税務分野の枠組みに収まらないというスタンスは今も間違っていないように感じます。
弊社の物語を振り返りますと、2016年3月に共同代表の前田 純志と税理士法人を開設して以来、はや8年の月日が経ちました。税務顧問業を主軸として、事業計画の策定支援、金融機関との折衝、M&AにおけるDD・PMI業務はもとより、企業研修や大学講師などの様々な機会を頂戴し、その都度お客様と良好な関係を構築してまいりました。私たちの物語をここまで紡ぐことが出来ましたのも、よきお客様に恵まれたことに他なりません。この場をお借りして、改めて感謝申し上げます。そして、物語を構成するひとつひとつの場面では、スタッフ全員が「現場主義」を信条として目の前の仕事に従事してきたと自負しております。「会計とは事実を数値化するもの」と定義すれば、その事実は現場にしかなく、「会計は現場なり」との考えがあるからです。まずは傾聴し、お客様の商流を把握する。それが全てのはじまりであり、物事の本質を見極めなければ、お客様から頂戴する報酬に対して適切なサービス提供を担保できるはずがないと考えております。
2023年11月には、新進気鋭の税理士として入江 亜美がメンバーに加わりました。入江は若くして税理士試験5科目に合格しており、今後の更なる成長に期待すると共に、幅広い世代による視点によってお客様の選択肢が広がれば幸いです。個人事務所として私一人がサービス提供していた“点”の時代から、前田との法人共同設立により“線”となり、入江の加入によって“面”を形成することができました。少数精鋭でありながらも、より様々な案件にご対応できる体制をさらに整えつつ、今後は“立体”となることを目指してまいります。
さて、私たちの業界におきましても、時代の変化に多大な影響を受けています。例えば、人工知能の発展によって、会計や税務の基礎知識は簡単に入手できるようになりました。また、国難である人口減少は会社経営に影を落とし、「三方よし」という理想は夢のまた夢のようにも感じます。では、私たち、公認会計士・税理士の価値はどこにあるのでしょうか。
1つに、お客様から求められるサービスが、会計・税務に関しての個別断片的な専門知識の“ご提供”から、会社経営そのもの、つまりは企業価値を向上させるための総合的・横断的な“ご提案”へと変遷しつつあります。お客様の真のご要望にお応えするためには、会計・税務のみならず、人事、IT、デザイン、コミュニケーション、アイデアといった幅広い分野への興味をもち、地に足のついた“ご提案”が必要になります。もちろん、私たちだけでは解決できない問題や経済事象はたくさん存在します。他の専門家も交えて叡智を結集しなければならない場面でも、お客様にベストな選択肢をご提案できるように他士業や経営者との繋がりも大事にしています。
2つに、現場においてお客様との目線合わせを柔軟に行う必要があります。相手の立場に立って「わかりやすい言葉で話し」「わかりやすい言葉で書く」の当たり前を心がけ、私たちにとっては共通言語である会計基準や税法をお客様にも腹落ちしていただく必要性を感じています。会計基準や税法、内部統制といったルールを大きく逸脱することは、長期的な視点でみれば企業価値は明らかに毀損されます。常日頃から遵守すべきルールを認識いただき、お客様に非日常を持ち込ませないことが私たちの役目でもあります。
3つに、実務家として机上の空論ではない、これまでの「経験」に基づいたアドバイスを提供しなければなりません。中小企業経営の現場において理想論ばかりを語るのではなく、お客様が最初の一歩を踏み出すことのできる実行可能性のある具体的な提案を、これまでの「経験」を通じてお示しすることです。実務家としての「経験」は、人工知能にとって変わられないものだと信じております。
当面の弊社の目標は、私たちと想いを共にする専門家の加入により、“立体”を形成していくことです。しかし、立体を形作るメンバーがただの烏合の衆では組織のブランドとしては成立しません。今後もそれぞれのメンバーが、日々の経験を積み重ねることで知見を高め、専門性と得意分野の幅を広げるべく、多角的な視野を持てるように努めてまいります。また、私たちの特徴として、上場支援やM&Aなどの高度な案件のみならず、あらゆる場面においてチームで取り組む姿勢を貫いております。性別や世代を超えた自由闊達な議論により、私一人では導き出せない最適解をチームとしてご提供できるように、これからも心がけてまいります。
代表社員
廣 兼 亮